2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年私的ベスト映画

1)RRR 文句無く完璧な超娯楽大作映画。優れた映画表現テクニックに、動く絵画のような画面創り。泣いた子もニッコニコになるような楽しいミュージカル・シーン。血が沸騰するようなアクション。娯楽の頂点。 2)マッド・ゴッド 表現力と技術力がハリウッド…

オコエのこと 〜「ねこホーダイ」はネコを助けるか?〜

昨晩。深夜遅く。寝室で寝ているとドアが開いてリビングの光のまぶしさで目を覚ましてしまった。ドアを開けたのは愛猫オコエ。寝室には入らず入口あたりで私をジッと見つめていた。「なあに?」と聞くとニャー!とひと鳴きして去っていった。 ……なんなのよ?…

人間皆殺し!『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』IMAXレーザー、HFR、3Dで鑑賞 2009年のヒット作『アバター』の続編。 13年の月日の経過は映像技術を格段に飛躍させ、当時ですでにハイエンドな映像美を魅せていたが、新作ではその解像度が更に上がっている。クリアな…

知恵の実を食い損ねた人たち『MEN 同じ顔の男たち』

『MEN 同じ顔の男たち』鑑賞。 ●創世記 パートナーの自殺を目の当たりにしたハーパーは気晴らしに2週間の期間限定で田舎暮らしを始める。 ハーパーは到着するなり庭に生える木からリンゴをもいで、そのまま食べる。 これは旧約聖書 創世記、アダムとイブの「…

「これは映画である」と強く思わせる『ブレット・トレイン』

TOKYO発の新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが、伝説のヤクザ「白い死神」の息子と彼の身代金が入ったブリーフケースを巡り死闘を繰り広げる。 タイトルのブレット・トレイン「弾丸列車」とは特急列車のことだが、狭義で日本の新幹線のことを特に指す。 さて。…

『女神の継承』がよく解る解説

※オチまで含めた話を書いているので、鑑賞済みの人向け。解説的なやつです。 そもそも、プロデュースを勤めたナ・ホンジン監督は自身の『哭声/コクソン』の続編として本作を着想したそうだ。となれば、本作の軸にあるのは「神の沈黙」を含んだ「信心」とい…

正義の暴力 〜『ダウト〜あるカトリック学校で〜』シスター・アロイシスの暴走〜

映画『ダウト〜あるカトリック学校で〜』。 カトリック学校の校長シスター・アロイシスは校則を破った生徒には容赦無い罰を与えるほど厳格な信仰者であり、温和で進歩的な考えの教会の司祭フリン神父のことはもちろん疎ましく思っている。 そんな中、フリン…

成就しない愛 〜『セーラー服と機関銃』政の幸せ〜

いきがかり上、組員が4人しかいない弱小ヤクザの組長に収まった女子高生の星泉。しかし就任早々ドラッグをめぐるトラブルに巻き込まれ、組員2人が殺されてしまう。復讐の殴り込みに向かう相手事務所のエレベーターの中。おしっこしたいと言う政に帰ってもイ…

キングになったジョーカー 〜『ジョーカー』マレー・フランクリンの人生〜

映画『ジョーカー』。 ピエロのバイトで食い繋ぐ、売れないコメディアンのアーサー。人気コメディアンであるマレー・フランクリンの番組で、ダダ滑りする舞台での様子がビデオ放映されバカにされる。その上、さらにバカにし倒すため番組に呼ばれる。しかし「…

正義と快感 〜『セブン』ジョン・ドーの目的〜

映画『セブン』。 警察に出頭したジョン・ドーは、それまでの犯行を認めることと、まだ発見されていない犯行の自白を引き換えに、ミルズ刑事とサマセット刑事を伴い、何も無い荒野の真ん中へ向かう。その道々、ジョン・ドーは饒舌に犯行の意図を語っていく。…

階段のエスプリ 〜クリス・ロックとウィル・スミス〜

フランスの「エスプリ文化」。上手い言い回しや比喩表現で面と向かって嫌味を言う。という、いけすかない文化である。 言われた方もその場でエスプリを返せれば良いのだが、咄嗟に気の利いた言葉を思いつき絶妙なタイミングで放つのは至難の技だろう。 あぁ…

「よくわからない」という明確さ『MEMORIA メモリア』

パブロ・ピカソによる反戦をテーマにした「ゲルニカ」を何の前情報も無く鑑賞したら、多くの人はそのテーマ性には気づかないであろう。 とはいえ。圧倒的な存在感(デカイ!)と、特異な筆致の魅力は強く、何某かの強い印象を観る者に持たせるだろう。 「な…