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新品派? 使いなじみ派?

野球帽の人気メーカーニューエラ(NEWERA)。今の流行りは、ピンと真っ平らなツバに、サイズ表記のシールを剥がさずつけっぱなしにしておき、汗どめのドゥラグをかぶってその上に深いタイプをデカめなサイズで形を崩さないようにかぶるスタイル。これは黒人アーティストの影響であろう。
値札をつけっぱなしにするとか、売っていたときのままにするのは「新品」を好む黒人特有の、昨日今日始まったワケでは無い、けっこう前からの趣向だ。
24年前。1990年のデジタル・アンダーグラウンドのデビューシングル「Humpty Dance」プロモーション・ビデオで鼻メガネのハンプティ・ハンプがモコモコの毛皮の帽子のプライスタグを外さずにプラプラさせている。
 
スパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)で、厄介者の黒人バギンアウトが真っ白なエア・ジョーダン4を踏まれたと白人に因縁をふっかける場面がある。この場面でも「踏まれて痛い」から怒っているのでは無く、真っ白なスニーカーが汚れたというのが実に黒人らしい。
 
ステレオタイプな理由として「貧しい育ちの黒人たちは、新品であることが誇らしく、中古でもおさがりでも無いのがうれしいから出来るだけ新品の状態を保とうとする。」という言い草がある。
 
それとは対照的な場面を見たことがある。ビースティ・ボーイズ1992年のアルバム「チェック・ユア・ヘッド」リリース後の日本ツアー時に撮影されたバックステージ・ドキュメンタリー番組。アドロックが買ったばかりのまっさらなギターに紙やすりをかけて、いかにも使い古したようなダメージを付けていた。
 
パンク・ファッション、で思い浮かべるのは膝が破けたタイトなジーンズではないだろうか? ラフィン・ノーズのボーカル、チャーミーのズッタズタに破けたジーンズの中にもう1本別のジーンズを合わせる重ね着にはあこがれたものだ。
 
ダメージ・ジーンズは昔は自分で年季を入れて膝が抜けるよう、それこそビースティ・ボーイズのアドロックじゃないが、膝で畳の目にひっかけるように、ずりずりと歩いたり、剣山で引っかいたりしたものだ。今では最初から破けて横糸だけ残した「新品のダメージ・ジーンズ」という矛盾したような商品が売っている。
 
ボク自身は黒人文化は好きだけど、ジーンズは履きならした感じの方が好きだし、野球帽はツートーンのメッシュキャップのツバをかまぼこ型にならして深くかぶる。白黒ごっちゃなワケだ。
 
しかし、その点で言えば、今の若者たちはデニムのダメージ加工したサルエルパンツに、ピッカピカのニューエラかぶっているのだから、白人黒人イスラム系のごった煮状態だ。そういう根無しっぽいスタイルが日本人という感じで凄く好きなんだけど、自分では出来ない。
 
自分では出来ない理由は、サルエル・パンツはボクの世代ではMCハマーのアイコンであり、ダサくて履けない。ダメージ・ジーンズは単に貧乏そうに見えやしないか不安で履けない。ニューエラの新品かぶりは「ほらほら、シール貼りっぱなしよぉ…… だらしないんだからぁ!」と言う人の方が周囲に多いので説明するのが面倒臭い。
 
と、おもに年齢由来の理由で悲しくなるわけだが。