「さよく」ってだれ?

少し前の話。 保守/右翼/差別主義の方々が、自分たちのバカげた主張に反対する人々を「左翼」とか「ブサヨ(ブサイク+サヨク)と揶揄するような風潮に対し、友人が「いまどき左翼なんかいねえよ!」と言っていた。
ナルホド。今、自民党の強引なやりくちや、好戦的な姿勢、石器時代から進歩の無い旧態依然とした女性蔑視などに対してデモをする人々がいるが、彼ら彼女らには70年安保で国会を包囲したデモ隊たちがインターナショナルを歌ったような共通した思想性は無い。もちろん、ゴリゴリの共産主義マルキストも中にはいるのかもしれないが数は多く無いだろう。
 
 
ソビエト連邦崩壊、東西ドイツ統一も今は昔。中国がむちゃくちゃお金大好きな超自由なメガトン級の資本主義なことはバレてるし、北朝鮮は恐怖政治の独裁国だしで、共産主義を掲げた国で未だに健在なのはキューバベトナムくらいか。
要は国民や政治にかかわる人々が非常に高潔で正しくて利他的であるという前提でしか「共産主義は成り立たないことが証明されてしまっている。いかにもインテリが考えつきそうな、机上でなら良いが実践が出来ない「機能しない制度」だ。
今の「日本共産党」だって、仮に政権を握ったとしても日本を共産主義国にはしないだろう。資本主義国として真っ当と思える程度に金持ちの税率を上げ、貧乏人の税率を下げるくらいがせいぜい。
それで充分なんだけど。
 
 
そもそも「左翼」という言葉、本来の意味としては広義で「体制側に反対する勢力」らしいので、今であれば自民党のバカさ、無神経さに対して反対している人たちが「左翼」で間違いはない。
 
 
「右翼」と言った場合、政治なら自民党だ。少し前なら自民党にも中道右派も多かったが、今の主流は好戦的なゴリゴリの、いわゆるバカ右翼である。
そのバカ自民党員を中心として、寄り添うようにネトウヨや右翼ヤクザ団体、差別主義者団体が存在しており、それぞれ対立無く共存している。自民党員は核も念頭に入れた武装をしたくてしょうがないし、北朝鮮や韓国、中国を嫌い、好戦的である。右翼ヤクザ団体も外国人排除を叫び、有りもしない「在日特権を糾弾している。差別主義者は金持ち優遇政策や原子力発電、自分たちが大好きなエロゲを弾圧することになる児童ポルノ規制法にすら賛成している。
右翼と呼ばれる人たちは、それがたとえ自分の生活を苦しめる結果になろうとも。世界の中で孤立して当の自分たちが忌み嫌う北朝鮮のような国になろうとしていても。とにかく大樹にしなだれて「エライ先生方」に白紙委任することで「考える」ことから解放されて安息する、ありていに言えば大々的にオツムの足らん人々であることが解る。
 
 
全く無条件で結束してしまう「右翼」に対して、「左翼」はバラバラだ。
70年代安保時代の大学生だった現引退間近の日教組系、共産党員系のマジ「左翼」。
ネトウヨたちが揶揄する自民党政権に対して批判的な人々も「左翼」だ。ネトウヨからは「在日」の「ブサヨ」と呼ばれる。これが一番広義の「左翼」で、私も「在日」認定はされている。
原発集団的自衛権に反対でデモに参加する程の意識の持ち主でも、選挙では確実に捨て票になる共産党を選ばない人が多いであろう。
そんなバラバラな中でも特に意味が解らないのが「へサヨ」だ。「ヘイトスピーチに反対する会、的な左翼」の略で、レイシストをしばき隊の現「C.R.A.C」メンバーが名付けたそうだが、双方ともヘイト・スピーチには反対しているのだが、たがいにいがみ合っている。
 
 
先日、ウチの最寄り駅の駅前で市議選に立候補した民主党の候補者が口角泡飛ばし演説をしていた。のぼりには「安部政権を倒せ!」とある。
共産党集団的自衛権に反対していますが個別的自衛権には賛成なんです! 近隣での武力行使には賛成なんです! こんな人気取りみたいなこと言っている党なんです!」と気炎を吐くと、シンパのおっさんが「そうだ!そうだ!」とガナりたてる。
この候補者やシンパのおっさんは胎児の時に脳みそになるべき細胞が全部耳たぶか盲腸などに変化してしまったに違いない。
自民党/安部政権の打倒を掲げて共産党Disってどうする?
本来なら「いかに自民党がうそつき集団であるか」を主張して、自民党の票を取り込んで、自民党からの候補者を落選させるのが「打倒!安部政権!」なハズなのに、共産党に流れた僅かな票を取りに行っているのだ。

 
70年安保で国会を囲んだ学生たちの共産主義革命の機運を木端微塵に粉砕したのは、誰あろう「革命戦士」である彼ら自身だ。
あさま山荘事件と山岳ベースにおける総括リンチ殺人事件は、「赤軍」「革命」などへの一般の人々の認識を一気にひっくり返してしまった。
丁度、オウム真理教麻原彰晃とんねるず北野武と共演する程度に軽い存在だと思われていたところでサリン事件が起こり、一般の人々の認識が一気に「キチガイ邪教集団オウム」へと変わったように。
 
 
今回の安部政権の暴走に対し、まだ何も爪痕を残せていないのに、さっそく内ゲバに勤しむ人々を見ると、件の友人が言ったように「いまどき左翼なんかいねえ」のかもしれない。